一定した訳語がない。
- add in quadrature:
「直交加算」「直角位相加算」「非同期加算」「直交ベクトル和」「直角ベクトル和」「直角足し算」?????
互いに直交しているもの(=無相関)として加算すること。二乗和平方根(the square root of the sum of squares、SRSS)のこと。
前を向いている値と横を向いている値とを、その向きの違い(90°)を勘定に入れて足し合わせること。 - add coherently:
「コヒーレント加算」「同相加算」「(位相)整合加算」「同期加算」「スカラー和」「普通の足し算」?????
相関のある同相成分同士であるものとしてその相の方向にそのまま単純に積み上げること。
同じ方向を向いている2つの値をその方向に向けて足し合わせること。
Hands-On Introduction to LabVIEW for Scientists and Engineers, p.300
If one then adds these M values together, the signal components will add coherently, yielding the total signal component ~(略)~. However, due to the random nature of the noise components, all of the values of n are uncorrelated with each other. Then, rather than simply being summed, statistical theory dictates that these values will add "in quadrature" (in analogy with how the squares of two sides of a right triangle add via the Pythagorean Theorem to produce the square of the hypotenuse).
非公式訳:
M個のこの値を全部加算すると各信号成分がコヒーレント加算され、その結果、信号成分の総和は ~(略)~。しかしノイズ成分は確率的な性質を帯びているため、(訳註: 測定で得られた)ノイズnの各値はどれも互いに無相関です。そういうわけで、こうしたノイズ成分(訳註: ばらつき具合がガウス分布に従っていると推定される値)については、単純に積み上げるのではなく、直交加算することが統計理論では求められます(ピタゴラスの定理に従って直角三角形の2つの隣辺の二乗の和から斜辺の二乗を求めるのに似ています)。
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quadrature /クワドゥラチャ/
hypotenuse /ハイパタヌース/ 直角三角形の斜辺
Pythagorean /パさガリアン/
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類似文:
http://ipl.physics.harvard.edu/wp-uploads/2013/03/PS3_Error_Propagation_sp13.pdf
http://seismo.berkeley.edu/~kirchner/eps_120/Toolkits/Toolkit_05.pdf
Handbook of Particle Detection and Imaging - Google ブックス
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たとえばノイズを含んだ同一音声を2回測定してその2回の値を加算する場合、純粋な音声成分はコヒーレント加算されるので2倍になり、ノイズ成分は直交加算されるのでsqrt(2)倍になる。 そうしてどんどん加算していって、たとえば100回加算したとすると、純粋な音声成分は100倍になり、ノイズ成分はsqrt(100)=10倍になる。1万回加算したとすると、純粋な音声成分は1万倍になり、ノイズ成分はsqrt(10000)=100倍になる。つまりノイズが本当に確率的(ランダム)であるなら、同じ条件で測定を繰り返せば繰り返すほどSN比が良くなる。