信号'transaction属性

pp.177-178

非公式訳

属性 適用先 返値の型 返値の値
S'transaction 信号   bit    信号 Sトランザクションの発生するたびにトグルする信号(bitタイプ)を返す
信号の事前定義属性

 一部の属性は信号に直接適用されます。信号属性は、それ以外の事前定義属性とは違い、オブェクトの現在の値によって動的に変化する情報を返します。信号属性の用途にはたとえば、プロセス同士で同期を図ること、信号の変化をモニタリングすること、クロックエッジを表現することなどがあります。(略)。
 信号属性は、値を返す属性と信号を返す属性とに分かれます。信号を返す属性には'delayed'stable'quiet'transactionがあります。こうした属性がコードに使われていると、自動的に更新される信号が新たにシミュレーターによって作成されます。この属性は、コードに記述されている他の信号と同じように使えます(たとえばプロセスのセンシティビティリストに使えます)。
 'transaction属性は、元の信号にトランザクションの発生するたびにトグルする信号(bitタイプ)を生成します。元の信号の値が変化したときのみならず、元の信号へのアサインが行われたときに必ずプロセスが開始されるようにしたい場合に便利な属性です。信号名をセンシティビティリストに入れておいた場合は、その信号の値が変化したときだけプロセスが開始されます。一方、信号'transactionを使用した場合は、その信号にアサインされたときに必ずプロセスが実行されます。このことは、その信号の値が変化しようとしまいとにかかわりません。1個の信号でデータのトランスポートと制御機構とが実現できるため、場合によってはビヘイビアモデルやテストベンチに便利です。(略)。'transaction属性についてもう1つ注意があります。それは、'transaction属性によって返される実際の値は使うべきではないということです。初期値がVHDLに規定されていないからです。
 (略)
 (略)
 (略)
 (略)