expand()

expand(Expr1 [, Var]) ⇒ expression
expand(List1 [,Var]) ⇒ list
expand(Matrix1 [,Var]) ⇒ matrix

 

構文:expand(式[, 変数])

返り値:式

構文:expand(リスト1[, 変数])
返り値:リスト

構文:expand(行列1[, 変数])
返り値:行列

 

expand(Expr1)と指定すると、Expr1の変数すべてについて展開されたExpr1が返される。多項式の場合は多項式展開が実行される。有理式の場合は部分分数展開が実行される。
expand()の目的は、単純な項の和や差にExpr1を変換することである。一方、factor()の目的は、単純な因数の積や商にExpr1を変換することである。

f:id:ti-nspire:20141120120007j:plain

 

expand(Expr1,Var)と指定すると、Varについて展開されたExpr1が返される。Varの冪は、同じ冪どうしでまとめられる。各項およびその因数は、主変数であるVarに従ってソートされる。まとめられた係数の因数分解または展開が付随的に行われることがある。Varを省略した場合に比べると、返り値である式は読み取りやすくなって、時間、メモリー、画面領域のいずれも少なくて済むことが多い。

f:id:ti-nspire:20141120120130j:plain

 

変数が1つしかない場合でも、Varを指定すれば、部分分数展開に使われる分母因数分解がもっと徹底的に行われる可能性がある。
ヒント:有理式の場合は、propFrac()でもexpand()と同じ処理が行われるが、propFrac()はexpand()に比べて徹底さを欠く。
注:分母も分子も展開する処理については、comDenom()も参照すること。

f:id:ti-nspire:20141120120158j:plain

 

expand(Expr1,[Var])と指定した場合、対数および分数乗は、Varに関係なく分配される。対数および分数乗の分配を徹底するためには、一部の因数が負数にならないよう、不等式制約をかけなければならないことがある。

expand(Expr1, [Var]) と指定した場合も、絶対値、sign()、指数函数は、Varとは無関係に分配される。
注:三角函数の加法定理および倍角公式の展開については、tExpand()も参照すること。 

f:id:ti-nspire:20141120120226j:plain