20.6.5 Coverage Bins

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非公式訳

20.6.5 カバレッジビン

乱数テスト入力値を使ったテストでは、シミュレーション中にどの値が観測されるのかを前もって知ることはできません。注目すべき値によってテストベンチ全体のどこがテストされたのかを知る手段として、テストベンチはカバレッジ情報を収集します。検証プランによっても異なりますが、観測すべき場所はDUVの入出力や内部値などでしょう。カバレッジ情報の収集元のことを「カバレッジアイテム」「カバレッジポイント」といいます。

こうしたポイントごとに、或値(または一連の或値)が何度観測されたらシミュレーションを終えるのかを指定することができます。この回数のことを「カバレッジゴール」と呼び、各値(または一連の値)のことを「カバレッジビン」と呼びます。どれかカバレッジポイントが観測されるたびに、その値が取得され、それぞれのカバレッジビンがインクリメントされます。すべてのカバレッジポイントのすべてのカバレッジビンがそれぞれのカバレッジゴールに達すればシミュレーションは終了です。

カバレッジビンの範囲とカバレッジゴールとを指定すれば、機能的に同等の値がグループ化されるとともに、注目すべき値が一定の頻度で必ず現れるようにできます。多くの場合、注目すべき値はパラメーターの限界値に近い値です。図20.14aに、Lenという名前のパラメーターのためのカバレッジモデルを示します。8~63の各値に別々のカバレッジゴールが与えられています。0~7の値は不正な値であり、この値がシミュレーション中に現れた場合はエラーと見なされます。

複数のパラメーターに関する情報を同時に収集して、それを1組のパラメーターと見なしてそれぞれの組にカバレッジゴールを与えることも可能です。この種のカバレッジモデルを「クロスカバレッジ」といいます。図20.14bに、RA、RBという2つのパラメーターを対象とするクロスカバレッジモデルの例を示します。四隅には、10というカバレッジゴールが与えられています。各辺には5というカバレッジゴールが与えられています。それ以外は1というカバレッジゴールが与えられています。RA=RBの場合は不正なビンです。