ムーアタイプ、ミーリータイプ、有限状態マシン

p.310

非公式訳
図6.1は、順序回路の出力が別の組み合わせ回路によって生成されることを示しています。つまり出力は、フリップフロップの現在の状態と最初の入力信号との函数であるということです。出力は必ず現在の状態に依存しますが、必ずしも最初の入力信号に直接依存しなければならないというわけではありません。したがって、図中に赤で示した接続線が存在する場合もあれば存在しない場合もあります。この2つの可能性を区別する手段として、出力が回路の状態にのみ依存する順序回路を「ムーアタイプ」と呼び、出力が回路の状態と最初の入力信号と両方に依存する順序回路を「ミーリータイプ」と呼ぶ習慣があります。これは、1950年代に順序回路の動作を研究したエドワード・ムーアとジョージ・ミーリーとにちなんで名づけられました。

順序回路は「有限状態マシン(FMS)」とも呼ばれます。どちらかといえばこの名称のほうが、技術書によく出てくる正式な名称です。この名称は、有限個数の状態を使って順序回路の機能的動作が表現できるという事実に由来します。本章では、順序回路を指すときに「有限状態マシン(あるいは単にマシン)」という用語を多く用います。